生態園と竹の研究
The Ecological Garden
生態園は約5,000平方メートルの広さで、回遊式和風庭園をイメージして造園されました。小魚が泳ぐ小池、岩石を組み上げた滝をはじめ、園内には遊歩道が敷設されていて、緑豊かな環境の中で竹林浴が楽しめます。
生態園外観
生態園は竹の資料館との間にある低地の小池に掛かる百々橋から東向かいの高台に位置しています。
そこから見る様々な竹や笹の生育状態が醸す景観は緑環境そのものです。
110種類の竹笹類が植栽されていて、それぞれの種類には植物学的なラベルが立てられていますから、竹や笹の種類を見比べるのも楽しいでしょう。
「竹の資料館」の南出口から園路に入ると、目の前に稈が美しい黄金色の輝くオウゴンチクや珍しいキンメイチクやシボチクを手に取るように観察できます。
また、遊歩道を下ると、視界が一気に開け、一面に緑が広がる景色は圧巻です。歴史遺跡の「百々橋」がその雰囲気をより一層引き立て、人気の撮影スポットになっています。
園内は遊歩道で巡回散策することができ、遊歩道に面して様々な竹の種類を観察することができます。園内中央部には東屋風の休憩所があり、ゆっくりと竹林浴を楽しめます。
生態園竹藪
また、園内中央部には飛び石を敷設した竹の小径があります。その小径に入ると、様々な竹や笹の種類の特徴をより間近で観察でき、学術的にも高く評価されています。
 近年、この飛び石を配した和風の竹の小径は、日本だけでなく、海外でも人気が高まっており、竹の群生が醸し出す幻想的な空間は撮影スポットとして喜ばれています。
一般的に、竹の稈(竹の場合、樹木の幹の用語ではなく、「稈」といいます。)は緑色ですが、中には稈の色が不思議に黄金色(キンメイモウソウ)になったり、また緑と黄色に別れた色合いになる種類があります。また、多くの竹の稈は円形ですが、中には亀の甲羅のような形になるキッコウチクや四角形になるシホウチクなどがあります。生態園では珍しい色や形の稈を有する竹や笹類を観賞することができます。
竹類は古来、日本人の生活と深い関係にあり、とても身近にある植物です。しかし、その生態は不思議でわからないことも多いのです。 その中の一つが、竹類の開花現象です。竹類は、一般的に数十年あるいは数百年のサイクルで花が咲きます。また、一斉に開花し、枯れていくことが多いです。 ミヤコザサの石標には、「大開花周期試験標 1954(昭和29)年 開花実生」と刻まれています。このミヤコザサは開花後に生えた実生で、開花周期を確認するために記録されています。 生態園ではこのように開花枯死から実生で再生した個体や無性で再生した個体を植栽し、その再生時期を石標に刻んで後世の研究に活かしています。